保護責任者遺棄等罪では、保護を要する者、行為者の保護責任、遺棄又は必要な保護をしない行為を確認します。結果が死亡であっても、最初から罪名を決めず殺人等との関係を検討します。
制度の仕組みと検討する要件
刑法218条は、老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者が、遺棄し又は生存に必要な保護をしない場合を定めます。必要な保護を自ら行えない具体的状態と、誰がどの根拠で保護責任を負うかが重要です。身分関係だけでなく、引受けや事実上の保護関係等を検討する場面もあります。
不保護の判断では、必要だった食事・医療・避難等の内容、行為者が実行できたこと、保護をしないことの認識を具体化します。死亡又は傷害の結果があれば219条の結果的加重を検討しますが、殺意と作為義務・不作為の実行行為性等が認められるときには不作為の殺人罪との関係も問題になります。悪い結果だけで保護責任や故意を推定しません。
判断の順序
- 被害者が保護を必要とする状態と必要な保護の内容を示す。
- 行為者の保護責任、実行可能性、遺棄又は不保護の認識を確認する。
- 結果と因果関係を検討し、不作為の殺人等と区別する。
事例へのあてはめ
保護を引き受けた乳幼児に長時間食事や水分を与えず、危険を認識して放置した例では、被害者の年齢・状態、保護責任、必要な保護をしなかった事情を検討します。単に同居していたという事情だけで全員の責任をまとめず、各人の義務と行為を個別に認定します。
混同しやすい点
217条の遺棄と218条の保護責任者による遺棄等は、主体や行為の範囲が異なります。病気であるというだけで常に要保護性が満たされるとせず、具体的な自救能力や危険を確認します。
確認問題
解答・解説:常にそのように決めることはできません。死亡に至る認識・意思、作為義務、結果回避可能性等により不作為の殺人が問題となる場合もあります。218条・219条の要件と、殺人の要件を分けて判断します。
根拠となる一次資料
よくある質問
保護責任者の放置で人が死亡した場合、殺意や不作為の要件を検討せず、常に219条だけを適用しますか。
常にそのように決めることはできません。死亡に至る認識・意思、作為義務、結果回避可能性等により不作為の殺人が問題となる場合もあります。218条・219条の要件と、殺人の要件を分けて判断します。