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不能犯と未遂犯の違い|結果不発生と危険性を分ける

結果が起きなかったというだけで不能犯にはなりません。行為が結果を発生させる危険を持っていたかを検討し、実行の着手・未遂の処罰規定・中止犯を区別します。

更新日: 2026年10月25日著者: LavaLex編集部

30秒でわかる結論

結果が起きなかったというだけで不能犯にはなりません。行為が結果を発生させる危険を持っていたかを検討し、実行の着手・未遂の処罰規定・中止犯を区別します。

到達目標

  • ✓予定した犯罪と、行った行為・対象・手段を特定する。
  • ✓危険の判断に用いる事情と評価方法を明示する。
  • ✓危険と実行の着手を検討し、未遂処罰規定の有無を確認する。

ひっかけポイント

  • !不能犯は危険性の問題、中止犯は実行に着手した後の自発的な中止・結果防止の問題です。失敗したから中止犯、危険が小さいから自動的に不能犯という二つの短絡を避けます。

試験別重要度

S/A/B/Cは、各試験での学習優先度を示す目安です。出題年度や個別の学習状況に応じて補助的に使ってください。

結果が起きなかったというだけで不能犯にはなりません。行為が結果を発生させる危険を持っていたかを検討し、実行の着手・未遂の処罰規定・中止犯を区別します。

要件と制度の位置づけ

未遂犯では、犯罪を実行する行為に着手したのに犯罪が完成しなかったことが問題になります。これに対し不能犯は、行為の危険性がなく、処罰される未遂として扱えない場合をいう学習上の概念です。43条は未遂の減軽等を、44条は未遂処罰を各本条に委ねることを定めますが、不能犯の危険性の基準を一つの条文だけで定義してはいません。

行為後に全事情が明らかになった時点で、結果が生じることは不可能だったと分かっただけでは足りません。行為時にどの事情を判断の基礎に置き、誰の立場から危険を評価するかが論点になります。具体的危険説などの学説を使う場合には、名称だけで済ませず、基礎事情と判断方法を示し、結果が出なかったことから逆算しないようにします。

最高裁昭和37年3月23日判決は、静脈に注射された空気の量が致死量以下でも、被害者の身体的条件などによって死亡の危険が絶対にないとはいえないという原判断を是認しました。この判断は個別の鑑定等に基づくものです。ある物質や量について普遍的な安全基準を示した判決ではなく、具体的な危険の認定が必要だと理解します。

判断の順序

  1. 予定した犯罪と、行った行為・対象・手段を特定する。
  2. 危険の判断に用いる事情と評価方法を明示する。
  3. 危険と実行の着手を検討し、未遂処罰規定の有無を確認する。

具体例で考える

Aが毒物だと思って無害な砂糖を飲物に入れた場合、Aの強い殺意だけで殺人未遂と結論づけることはできません。一方、拳銃を発射したが狙いが外れた例では、結果不発生だけを理由に不能犯とはいえません。手段の性質、使用方法、行為時の事情から危険を説明し、両者の違いを明らかにします。

区別すべき問題

不能犯は危険性の問題、中止犯は実行に着手した後の自発的な中止・結果防止の問題です。失敗したから中止犯、危険が小さいから自動的に不能犯という二つの短絡を避けます。

確認問題

解答・解説:いえません。結果不発生は未遂犯にも共通します。行為に結果発生の危険があったか、実行の着手があったか、個別の未遂処罰規定があるかを検討します。

根拠となる一次資料

よくある質問

殺意を持って行動しても死亡しなかった場合、結果が出なかったことだけで不能犯といえますか。

いえません。結果不発生は未遂犯にも共通します。行為に結果発生の危険があったか、実行の着手があったか、個別の未遂処罰規定があるかを検討します。

答案・記述式での使い方

検討対象の行為と時点を特定し、予定した犯罪と、行った行為・対象・手段を特定する。 危険の判断に用いる事情と評価方法を明示する。 結論を出す前に、区別すべき類型と例外を確認します。

次にやること

この論点は単独で暗記するより、条文・判例・関連論点とつなげて読むと定着しやすくなります。