これからされる一定の行政処分を止めるのが差止訴訟です。既にされた処分の取消し・執行停止との違いを確認し、処分の蓋然性、重大な損害、補充性、原告適格を整理します。
制度の基本と判断の出発点
行政事件訴訟法3条7項の差止めの訴えは、行政庁がしてはならない一定の処分又は裁決をしようとしている場面で、これをしないよう求める訴訟です。行政のあらゆる活動を抽象的に禁止する訴えではありません。どの処分がどの程度具体的に予定されているかを確かめます。
37条の4は、処分等によって重大な損害を生ずるおそれがあることと、損害回避のため他に適当な方法がないことを要求します。原告には、差止めを求める法律上の利益も必要です。
事例で確認する順番
- 対象処分を特定し、その処分がされる現実的な蓋然性を検討する。
- 重大な損害、他の適当な方法の有無、法律上の利益をそれぞれ判断する。
- 訴訟要件を満たした後、処分をしてはならないことが法令上明らか等の本案要件を判断する。
具体例で考える
行政庁がAへの営業停止処分を具体的に予定している場合、Aは処分前の差止めを検討できます。既に営業停止処分がされている場合は、その処分の取消しと執行停止が基本となります。裁判を起こす時点の処分の有無が、救済手段の選択を左右します。
例外・区別しておくこと
処分後の取消訴訟と執行停止で適切に救済できるかは、補充性に関係します。単に取消訴訟という制度が存在するというだけで機械的に差止めを排除せず、その損害を回避できる適当な方法なのかを具体的に考えます。
確認問題
解答・解説:違います。既存処分の取消しと執行停止を検討します。差止めは将来の一定の処分を対象とするので、処分の前後をまず区別します。
根拠条文・参考資料
よくある質問
既にされた営業停止処分の効力を止めたい場合、その同じ処分の差止訴訟だけを提起するのが基本ですか。
違います。既存処分の取消しと執行停止を検討します。差止めは将来の一定の処分を対象とするので、処分の前後をまず区別します。