論点解説
伝聞と非伝聞の見分け方|要証事実から考える練習
同じ発言でも証明したい事実により伝聞性の検討が変わります。発言内容の真実性を使う場合と、発言があったことを使う場合を設例で比較します。
「又聞きなら伝聞」とだけ覚えると、書面や録音、発言自体が問題となる事例で迷います。供述が何を証明するために使われるかを先に書き、その内容が真実でなければ推論が成り立たないかを確認します。
違いを比較する
比較点 | 伝聞として問題になる使い方 | 非伝聞として検討する使い方 |
|---|---|---|
要証事実 | 発言された内容が実際に起きたこと | 発言の存在や、それが及ぼした影響 |
推論の依存先 | 元の供述内容の真実性 | 発言をした・聞いたという事実 |
次の検討 | 伝聞例外等の条件 | 関連性・他の証拠法上の条件 |
証拠の形ではなく推論を見る
320条は、公判供述に代えて書面を証拠とすることや、公判外の他人の供述を内容とする供述について原則を定めます。形式が証言でも書面でも、元の供述の内容を真実と扱うために用いるかを確認します。録音だから常に非伝聞、証人が直接聞いたから常に非伝聞とはいえません。
供述を二段階に分ける
証人Aが「Bから、Cが窓を割ったと聞いた」と述べる場合、Cが実際に窓を割ったことの立証にはBの認識・記憶・表現の正確性が重要です。他方、Aがどの情報を得てその後に行動したかを示すなら、Bの発言の存在や影響が問題になる場合があります。要証事実を名付け替えただけで、実際には内容の真実性を使っていないかも検討します。
非伝聞と証拠採用を同じ結論にしない
非伝聞と整理できても、事件との関連性や他の証拠法上の問題は残ります。伝聞の場合も、直ちに全て排除と終えるのではなく、321条以下の例外や326条の同意等を確認します。伝聞性と証明力の評価は別の問いです。
設例で使い分ける
以下は学習用に作成した設例です。脅迫の事件で、Aが「Bから危害を加えると言われた」と証言します。Bが本当に将来危害を加えるかではなく、その言葉を発したことが問題になっています。
発言内容の予告が実現する真実性ではなく、脅迫する言葉が発せられた事実を立証する使い方を検討します。同じ発言が別の事実の立証にも使われるなら、その用途ごとに分析をやり直します。
確認問題
証人が自分で相手の言葉を聞いていれば、常に非伝聞ですか。
解答・解説:いいえ。聞いたことが直接経験でも、元の供述の内容を真実として利用するなら伝聞性を検討します。
復習の手順
比較表の制度名を隠し、対象・要件・効果の違いを自分の言葉で説明します。次に設例の事実を一つ変え、結論に影響する条件を指摘します。詳しい判断枠組みは、下の関連図鑑で確認してください。
法令確認日:2026年10月28日。試験で使う法令の基準日が異なる場合は、適用される施行版を確認してください。