土地管轄は訴えを扱う地域を定めるルールです。被告の普通裁判籍、請求ごとの特別裁判籍、管轄合意と応訴管轄を順に確認し、専属管轄の事件を区別します。
制度の仕組みと検討する要件
民事訴訟法4条は被告の普通裁判籍を基本とし、自然人については原則として住所、法人については主たる事務所等を基準にします。5条には義務履行地や不法行為地などの特別裁判籍があり、一つの事件に複数の管轄裁判所が存在することもあります。便利な場所だから管轄が生じるのではなく、請求の性質と条文を結び付けます。
11条の合意管轄は第一審に関する一定の法律関係について、書面又はその内容を記録した電磁的記録で定めます。すべての将来紛争を無限定に対象とする合意とは区別します。12条の応訴管轄は、被告が管轄違いの抗弁を提出せず、本案について弁論するなどした場合に成立します。専属管轄には合意・応訴で変更できない制約があります。
判断の順序
- 請求の性質から普通裁判籍と特別裁判籍を探す。
- 合意の対象・方式と専属管轄の有無を確かめる。
- 応訴の内容と管轄違いの抗弁の時期を確認して結論を示す。
事例へのあてはめ
東京の会社と大阪の会社が継続取引の契約書で、その取引から生じる紛争の第一審を名古屋の裁判所と合意した例では、名古屋と取引の地理的な結び付きが薄くても、11条の方式・対象が満たされれば合意の効力を検討できます。訴額による事物管轄や専属管轄の問題は別に確認します。
混同しやすい点
土地管轄と、地方裁判所・簡易裁判所のどちらが扱うかという事物管轄は別の問題です。また、管轄が存在するかと、当事者間の衡平や訴訟の遅滞を避けるため移送するかも分けて論じます。
確認問題
解答・解説:常に移送されるわけではありません。専属管轄に属する場合を除き、12条の要件を満たせば応訴管轄が生じます。答弁の表題だけでなく、本案について弁論したかを確認します。
根拠となる一次資料
よくある質問
管轄のない裁判所で、被告が管轄違いを述べずに請求棄却を求めて本案を弁論した場合、常に移送されますか。
常に移送されるわけではありません。専属管轄に属する場合を除き、12条の要件を満たせば応訴管轄が生じます。答弁の表題だけでなく、本案について弁論したかを確認します。