国の財政には国会の関与が必要ですが、税を課す根拠と、予算による支出の承認は同じものではありません。憲法83条以下を、収入・支出・決算の段階ごとに整理します。
保障の内容と条文のつながり
憲法83条は国の財政を処理する権限を国会の議決に基づいて行使することを求めます。財政民主主義のもとでは、政府が自由に国費を使ったり新しい負担を国民へ課したりするのではなく、代表機関の統制を受けます。財政のどの段階にどの議決が必要かを具体化することが大切です。
84条は、新たな租税を課し、又は現行の租税を変更するには法律又は法律の定める条件によることを要求します。誰に、何を対象として、どのような基準で税を課すかを法律により定めるという租税法律主義につながります。予算に税収を見込む記載があるというだけで、新税の法律上の根拠が備わるわけではありません。
85条は国費の支出や国の債務負担に国会の議決を要求し、86条は内閣が毎会計年度の予算を作成して国会へ提出し、審議・議決を経ることを定めます。課税の法律、支出を承認する予算、個別の契約に基づく支払義務を同じ書類や行為として扱わないようにします。
90条は、収入支出の決算を会計検査院が毎年検査し、内閣が検査報告とともに国会へ提出することを定めます。支出前の予算統制だけでなく、使った後の検査と国会への報告も財政の統制を支えます。会計検査院を、国会の内部委員会又は内閣の単なる一部と同一視しません。
事例を検討する順番
- 課税・支出・債務負担・決算のどの段階かを確定する。
- 法律・予算・国会の議決のうち必要な根拠を確認する。
- 決定する主体と、実行後の検査・報告を分ける。
具体例に当てはめる
政府が新しい税の収入を次年度予算に書き込んだだけで徴収を始める例では、84条による法律等の根拠が別に問題になります。反対に、徴税の法律があるからといって、その税収を政府が予算の統制なく自由に支出してよいわけではありません。収入の根拠と支出の承認を切り分けます。
混同しやすい点
租税法律主義は、税収の見積額が予算に載っていれば足りるという原則ではありません。また予算と法律は成立手続・効力の扱いが異なり、予算の議決を法律の制定と同じものと説明しません。
確認問題
解答・解説:それだけでは満たしません。84条による法律又は法律の定める条件を確認します。予算の議決と、租税を賦課する法的根拠は区別します。
根拠となる一次資料
よくある質問
新税の収入を予算に計上し国会の議決を受ければ、それだけで84条上の課税根拠も満たしますか。
それだけでは満たしません。84条による法律又は法律の定める条件を確認します。予算の議決と、租税を賦課する法的根拠は区別します。