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明示的一部請求と相殺

総額から控除する計算と既判力

最初に押さえること

事案:金銭債権の一部が訴訟上請求され、第一審が請求を認めました。被告のみが控訴し、控訴審で新たに相殺の抗弁を提出しました。控訴審は請求債権の総額を第一審認定額より大きく認定し、相殺後も一部請求額を上回るとして控訴を棄却しました。 争点:相殺額を一部請求額から直接引くべきか、債権総額から引くべきか、また自働債権の判断の既判力と不利益変更禁止に反しないかが問題となりました。 判断:最高裁は、債権の総額を確定し自働債権額を控除した残存額を算定して、一部請求額が残存額内なら全額、超えるなら残存額の限度で認容するとしました。訴訟上請求されない残額部分に対応する自働債権の判断には既判力が生じず、本件の控訴棄却も不利益変更禁止に反しないとしました。 理由:一部請求は、数量的一部の範囲では請求権が現存するという請求です。相殺による減少を一部請求額へ直接割り当てると、この趣旨に反します。他方、相殺の抗弁の既判力は、請求に対し相殺をもって対抗した範囲に限られ、計算に用いた総額の全てへ広がるわけではありません。

このページの目次

何が起きたか

金銭債権の一部が訴訟上請求され、第一審が請求を認めました。被告のみが控訴し、控訴審で新たに相殺の抗弁を提出しました。控訴審は請求債権の総額を第一審認定額より大きく認定し、相殺後も一部請求額を上回るとして控訴を棄却しました。

争点

相殺額を一部請求額から直接引くべきか、債権総額から引くべきか、また自働債権の判断の既判力と不利益変更禁止に反しないかが問題となりました。

裁判所の判断

最高裁は、債権の総額を確定し自働債権額を控除した残存額を算定して、一部請求額が残存額内なら全額、超えるなら残存額の限度で認容するとしました。訴訟上請求されない残額部分に対応する自働債権の判断には既判力が生じず、本件の控訴棄却も不利益変更禁止に反しないとしました。

裁判所の判断と理由

一部請求は、数量的一部の範囲では請求権が現存するという請求です。相殺による減少を一部請求額へ直接割り当てると、この趣旨に反します。他方、相殺の抗弁の既判力は、請求に対し相殺をもって対抗した範囲に限られ、計算に用いた総額の全てへ広がるわけではありません。

当てはまる範囲と限界

一部請求であれば自働債権全額について常に既判力がない、という意味ではありません。総債権額、一部請求額、相殺額と、実際に請求に対抗した範囲を区別します。反訴で自働債権の支払を請求する場合や、残部請求の可否等の問題へ無条件に結論を広げません。相殺の抗弁を審理する順序も確認します。

現行法との関係

本判決は旧民訴法の下のものです。現行114条2項の相殺の既判力、246条の処分権主義、304条等の控訴審の範囲を確認して読み替えます。

類似事例で考える

学習用に総額100、一部請求40、相殺30なら残額70として請求40を検討します。相殺の計算と既判力の範囲を別々に説明し、数字を判決の実際の金額と取り違えないようにします。

確認問題

オリジナル確認問題

一部請求40に相殺30があれば、総債権額を調べず当然に10だけ認容しますか。

解答・解説:いいえ。まず総額を確定して相殺後の残額を算定し、一部請求額との関係を判断します。

出典と編集情報

更新日:2026年10月28日 / 資料確認日:2026年10月28日