白山丸事件
幅のある日時表示と訴因特定の目的
最初に押さえること
事案:有効な旅券への出国証印を受けず中国へ出国したとして起訴された事件です。起訴状の日時は6年余の幅があり、場所や方法にも具体性を欠くと争われました。検察官の冒頭陳述では、国内での所在が不明となった後の出国と、その後の帰国との関係が示されました。 争点:日時・場所・方法の表示に幅や不足があるとき、刑事訴訟法256条3項の訴因特定に反するか、審判対象と防御範囲の観点からどう判断するかが問題となりました。 判断:最高裁は、訴因特定は審判対象を限定し防御範囲を示すためのものとしました。日時等が構成要素そのものではなく、詳らかにできない特殊事情がある場合には、目的を害しない幅のある表示も許されます。本件は起訴状と冒頭陳述から対象と防御範囲が明らかで、特定違反を認めませんでした。 理由:本件の秘密の出国では具体的経緯の確認が極めて難しい事情がありました。他方、何を起訴しているかが識別できなければならず、日時等の表示を不要とするものではありません。補足意見も帰国に対応する出国の特定に着目し、対象の識別の重要性を示しています。
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何が起きたか
有効な旅券への出国証印を受けず中国へ出国したとして起訴された事件です。起訴状の日時は6年余の幅があり、場所や方法にも具体性を欠くと争われました。検察官の冒頭陳述では、国内での所在が不明となった後の出国と、その後の帰国との関係が示されました。
争点
日時・場所・方法の表示に幅や不足があるとき、刑事訴訟法256条3項の訴因特定に反するか、審判対象と防御範囲の観点からどう判断するかが問題となりました。
裁判所の判断
最高裁は、訴因特定は審判対象を限定し防御範囲を示すためのものとしました。日時等が構成要素そのものではなく、詳らかにできない特殊事情がある場合には、目的を害しない幅のある表示も許されます。本件は起訴状と冒頭陳述から対象と防御範囲が明らかで、特定違反を認めませんでした。
裁判所の判断と理由
本件の秘密の出国では具体的経緯の確認が極めて難しい事情がありました。他方、何を起訴しているかが識別できなければならず、日時等の表示を不要とするものではありません。補足意見も帰国に対応する出国の特定に着目し、対象の識別の重要性を示しています。
当てはまる範囲と限界
6年という幅なら一般に許される、と期間だけの基準にしません。犯罪の種類・性質、具体的な識別、特殊事情と防御への実質的支障を確認します。冒頭陳述があればどのような起訴状の欠陥でも治る、という一般命題にも広げないようにします。複数行為が識別できるかも確認します。
現行法との関係
本頁は訴因特定に焦点を当てます。判決中の出入国管理令等は当時の法令であり、現在の出入国手続の案内として用いません。現行刑訴法256条3項の目的と文言を確認して読みます。
類似事例で考える
まず訴因を他の犯罪事実から識別できるかを確認し、日時等の具体化が困難な理由と防御範囲を示します。表示に幅があるという一事だけで結論を出さないことが大切です。
確認問題
本判決は、どの犯罪でも日時や場所を記載しなくてよいとしましたか。
解答・解説:いいえ。特殊事情と、審判対象・防御範囲を明確にする目的を害しないことを踏まえた判断です。
出典と編集情報
更新日:2026年10月28日 / 資料確認日:2026年10月28日