論点解説
無権代理と表見代理の違い|本人への効果帰属から整理
代理権がない行為について、追認と表見代理のどちらを検討するかを整理します。本人の表示・権限外行為・消滅後の行為と相手方保護を比較します。
代理権がないと分かった段階で「本人は絶対に拘束されない」と終えると、追認や表見代理を見落とします。有権代理の条件を確かめた後、本人への効果が生じる別の根拠を順番に検討します。
違いを比較する
検討 | 根拠と着眼点 |
|---|---|
有権代理 | 99条。権限内で本人のために行為したか |
無権代理の原則 | 113条。本人の追認がなければ本人に効果が生じない |
代理権授与表示 | 109条。本人の表示と相手方保護 |
権限外の行為 | 110条。基本代理権と正当な理由 |
消滅後の行為 | 112条。消滅前の権限と相手方の認識等 |
無権代理は契約の当然無効とは違う
113条は本人が追認しなければ本人に効力を生じないと定めます。相手方の催告、取消し、無権代理人の責任については114条・115条・117条などを別に検討します。本人に効果が生じるかと、無権代理人に責任があるかは同じ問いではありません。
表見代理は根拠条文ごとに条件を確かめる
109条は本人による代理権授与の表示、110条は代理権の範囲を超えた行為、112条は消滅後の行為を扱います。表示された範囲を超えた場合などには各条の複合的な場面もあります。全てを「相手が善意なら成立」と一括せず、条文の善意・無過失や正当な理由の条件をそれぞれ当てはめます。
外観を誰が作り、何を信じたかを具体化する
本人の関与、代理人に実際に与えられた権限、相手方が見た資料、取引の内容、不審な事情と確認行動を並べます。代理人が自称しただけの権限と、本人が相手方に示した表示は区別します。契約の金額が大きいという一事だけでも、確認していないという一事だけでもなく、根拠条文に必要な事実を説明します。
設例で使い分ける
以下は学習用に作成した設例です。AはBに備品購入の代理権を与えました。BはCと、備品購入を超える別の契約をAの代理人として結びました。CはBが示した書類を信頼したと述べています。
まず実際の代理権の範囲を確定し、範囲外なら110条の検討へ進みます。Cが信頼したという主観だけでなく、書類や取引内容などから正当な理由があるかを検討します。成立しない場合でも本人の追認や無権代理人の責任を別に考えます。
確認問題
代理権がない契約は、本人が後から追認しても本人に効果を生じませんか。
解答・解説:いいえ。113条の追認と116条の効果を確認します。無権代理を追認もできない当然無効と混同しません。
復習の手順
比較表の制度名を隠し、対象・要件・効果の違いを自分の言葉で説明します。次に設例の事実を一つ変え、結論に影響する条件を指摘します。詳しい判断枠組みは、下の関連図鑑で確認してください。
法令確認日:2026年10月28日。試験で使う法令の基準日が異なる場合は、適用される施行版を確認してください。