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賃貸借の終了と原状回復|通常損耗・経年変化・特約

賃貸借が終わると目的物の返還と原状回復が問題になります。契約が終了した理由を確定したうえで、借りた後の損傷と通常の使用による変化を区別し、費用負担を考えます。

更新日: 2026年10月25日著者: LavaLex編集部

30秒でわかる結論

賃貸借が終わると目的物の返還と原状回復が問題になります。契約が終了した理由を確定したうえで、借りた後の損傷と通常の使用による変化を区別し、費用負担を考えます。

到達目標

  • ✓賃貸借の終了原因と、特別法の適用を確認する。
  • ✓各損傷の発生時期・原因と通常損耗等の区別を判断する。
  • ✓特約、原状回復費用、敷金の控除・返還を分ける。

ひっかけポイント

  • !原状回復は、借りた当初と完全に同じ新品状態を再現するという意味ではありません。また、契約終了の判断と損傷費用の判断は別です。返還を求める権利があるかを確認せず、原状回復の話だけで明渡しを当然の前提にしないようにします。

試験別重要度

S/A/B/Cは、各試験での学習優先度を示す目安です。出題年度や個別の学習状況に応じて補助的に使ってください。

賃貸借が終わると目的物の返還と原状回復が問題になります。契約が終了した理由を確定したうえで、借りた後の損傷と通常の使用による変化を区別し、費用負担を考えます。

制度の仕組みと検討する要件

賃貸借の終了は、期間満了、解約、合意、債務不履行解除など、その原因ごとに要件を確認します。土地・建物の賃貸借では借地借家法等の特別法の適用があるため、民法の期間だけから終了を断定しないようにします。終了が認められた後に、返還や原状回復の範囲を検討します。

621条は、賃借人が物を受け取った後に生じた損傷について、通常の使用・収益による損耗及び経年変化を除き、終了時に原状へ戻す義務を定めます。その損傷が賃借人の責めに帰することのできない事由による場合にも、同条ただし書の制限があります。新品の状態へ一律に戻す規定ではありません。

契約に原状回復費用の負担に関する特約がある場合、何を対象とする合意か、その有効性を別に検討します。敷金は622条の2の規律に従い、終了して目的物を返還した後、賃貸借に基づく金銭債務を控除した残額の返還が問題になります。敷金を預けているから損傷の範囲を確認しなくてよいわけではありません。

判断の順序

  1. 賃貸借の終了原因と、特別法の適用を確認する。
  2. 各損傷の発生時期・原因と通常損耗等の区別を判断する。
  3. 特約、原状回復費用、敷金の控除・返還を分ける。

事例へのあてはめ

Aが借りた住宅を合意により退去する際、日照による壁紙の変色と、家具を乱暴に動かして付けた大きな穴が見つかったとします。同じ壁の変化でも、通常損耗・経年変化と、賃借人の行為による損傷を区別します。壁紙全部を新しくする請求が来たという事実だけで全額負担を認めず、契約内容と各損傷の原因を確かめます。

混同しやすい点

原状回復は、借りた当初と完全に同じ新品状態を再現するという意味ではありません。また、契約終了の判断と損傷費用の判断は別です。返還を求める権利があるかを確認せず、原状回復の話だけで明渡しを当然の前提にしないようにします。

確認問題

解答・解説:当然には負担しません。621条は通常の使用・収益による損耗と経年変化を原状回復の対象から除きます。損傷の原因、責任、特約の内容・有効性を別々に検討します。

根拠となる一次資料

よくある質問

特約の問題を別にした場合、日照などの経年変化も621条により賃借人が当然に新品へ交換する費用を負担しますか。

当然には負担しません。621条は通常の使用・収益による損耗と経年変化を原状回復の対象から除きます。損傷の原因、責任、特約の内容・有効性を別々に検討します。

答案・記述式での使い方

契約の終了が認められるかを先に示し、各損傷の原因を通常損耗・経年変化等と比較します。特約と敷金の精算は別の根拠で検討します。

次にやること

この論点は単独で暗記するより、条文・判例・関連論点とつなげて読むと定着しやすくなります。