何が起きたか
市が条例に基づき建築工事の中止を命じた後、相手方に対し、裁判で工事の続行を禁止するよう求めました。地方公共団体が原告でも、どの立場で何の権利を求めているかが問題です。
- 市が行政命令の履行だけを求めたこと
- 私法上の財産権に基づく請求ではないこと
何が問題になったか
地方公共団体が原告でも、どの立場で何の権利を求めているかが問題です。
裁判所の判断と理由
国や地方公共団体が専ら行政権の主体として行政上の義務の履行を求める訴訟は、不適法とされました。
裁判所法上の法律上の争訟か、法律が特に認める訴訟かを確認します。自治体が財産権の主体として争う場合と、行政命令を実現するためだけに訴える場合を区別します。
判決本文・裁判要旨で確かめる
裁判例詳細の事件番号・裁判年月日と本文PDFを照合できます。公表要旨は裁判所による要約です。本文では多数意見の理由と、補足意見・反対意見がある場合の記載を区別して読みます。
この判例が当てはまる範囲
自治体は民事訴訟の原告になれないという意味ではありません。条例上の義務があることから、その実現のための訴えまで当然に許されるわけではないという判断です。
事実を変えて考える
以下は理解を確かめるための設例です。実際の事件の事実ではありません。
市有地を無断占有する者に市が所有権に基づく明渡しを求める場合も、本件と同じですか。
市が財産権の主体として訴える点で異なります。本件の行政権主体としての義務履行請求と区別し、通常の訴訟要件を検討します。
答案・学習での使い方
検討の出発点は「市が行政命令の履行だけを求めたこと」です。次に「私法上の財産権に基づく請求ではないこと」を、判断の要件や理由と結び付けます。事件名や結論を挙げるだけで終えず、設例のどの事実が同じで、どこが異なるかを説明しましょう。