何が起きたか
共同正犯の殺人の訴因で被告人が実行行為者と明示されていましたが、判決は共犯者又は被告人、あるいは両者と択一的に認定しました。訴因変更をしなかったことが争点です。
- 共同正犯の範囲に変化がないこと
- 実行行為者をめぐる防御が実際にされていたこと
何が問題になったか
訴因変更をしなかったことが争点です。
裁判所の判断と理由
実行行為者の実質的に異なる認定には原則として訴因変更が必要ですが、不意打ちでなく、より不利益ともいえない場合には、変更なしの認定が許され得ます。
共同正犯だから誰が実行したかは常に無関係、とはしません。実際の争点、防御の内容、共犯者の範囲、変更後の事実の不利益を検討し、本件では手続違反を否定しました。
判決本文・裁判要旨で確かめる
裁判例詳細の事件番号・裁判年月日と本文PDFを照合できます。公表要旨は裁判所による要約です。本文では多数意見の理由と、補足意見・反対意見がある場合の記載を区別して読みます。
この判例が当てはまる範囲
公訴事実の同一性があることだけで訴因変更の必要性が消えるわけではありません。変更の可能性と、変更を要するかという防御権の問題を分けます。
事実を変えて考える
以下は理解を確かめるための設例です。実際の事件の事実ではありません。
全く争われていない別の実行態様を突然認定し、被告人が防御の機会を失う場合も同じですか。
不意打ちという事情が変わります。認定の差異が防御にとって重要かを検討し、訴因変更等による手続保障の要否を判断します。
答案・学習での使い方
検討の出発点は「共同正犯の範囲に変化がないこと」です。次に「実行行為者をめぐる防御が実際にされていたこと」を、判断の要件や理由と結び付けます。事件名や結論を挙げるだけで終えず、設例のどの事実が同じで、どこが異なるかを説明しましょう。