何が起きたか
相手からの侵害を予期しながら対抗行為に及んだ事件で、正当防衛に必要な急迫性が争われました。攻撃が始まった瞬間だけでなく、それまでの経緯を評価する問題です。
- 侵害を予期して対抗に備えた経緯
- 回避可能性・凶器準備等の全体状況
何が問題になったか
攻撃が始まった瞬間だけでなく、それまでの経緯を評価する問題です。
裁判所の判断と理由
侵害を予期した場合の急迫性は、従前の関係、回避の容易性、出向く必要、凶器の準備、実際の侵害、意思内容など行為全般の事情から判断します。
予期があれば直ちに急迫性なしという機械的な判断ではありません。緊急時に公的保護を求められないため私人の対抗を許すという36条の趣旨に照らし、対抗を許容すべき状況かを検討します。
判決本文・裁判要旨で確かめる
裁判例詳細の事件番号・裁判年月日と本文PDFを照合できます。公表要旨は裁判所による要約です。本文では多数意見の理由と、補足意見・反対意見がある場合の記載を区別して読みます。
この判例が当てはまる範囲
侵害を回避しなかったことだけを常に決定的に扱いません。行為者の立場と必要性を含め、事案に応じた総合評価が必要です。
事実を変えて考える
以下は理解を確かめるための設例です。実際の事件の事実ではありません。
仕事上そこへ行く必要があり、攻撃を避ける現実的手段もなかった場合、どのように検討しますか。
場所へ出向く必要性や回避の困難さは総合評価の要素になります。侵害予期だけから結論を出さず、36条の趣旨に照らして判断します。
答案・学習での使い方
検討の出発点は「侵害を予期して対抗に備えた経緯」です。次に「回避可能性・凶器準備等の全体状況」を、判断の要件や理由と結び付けます。事件名や結論を挙げるだけで終えず、設例のどの事実が同じで、どこが異なるかを説明しましょう。