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Case Brief

日航機ニアミス事件|管制指示の危険と回避行動

訓練中の航空管制官が便名を言い間違えて降下を指示し、指導監督者も是正しませんでした。誤った管制指示と機長の回避行動による負傷との因果関係、予見可能性を認められるか。

更新日: 2026年10月26日

裁判所

最高裁判所第一小法廷

判決日

2010-10-26

引用

平成20(あ)920/刑集 第64巻7号1019頁

判旨・学習上の位置づけ

事案:訓練中の航空管制官が便名を言い間違えて降下を指示し、指導監督者も是正しませんでした。航空機が異常接近し、衝突回避の急降下によって乗客らが負傷した事故について、管制官らの過失責任が争われました。 争点:誤った管制指示と機長の回避行動による負傷との因果関係、予見可能性を認められるか。 判断:裁判所が公表する裁判要旨は、次のとおりです。 「航行中の航空機甲機及び乙機が著しく接近し,両機の衝突を避けるために急降下した甲機の乗客らが負傷した事故について,実地訓練中の航空管制官において両機が異常接近しつつあることを知らせる警報を認知して巡航中の乙機を降下させることを意図しながら便名を言い間違えて上昇中の甲機に対し降下指示をし,その指導監督者である航空管制官においてこれに気付かず直ちに是正をしなかったことは,ほぼ同じ高度から甲機が同指示に従って降下すると同時に乙機も航空機衝突防止装置により発せられる降下指示に従って降下し,両機の接触,衝突等を引き起こす高度の危険性を有する行為であって,これと上記事故との間の因果関係も認められ,かつ,上記航空管制官両名において,両機が共に降下を続けて異常接近し,両機の機長が接触,衝突を回避するため急降下を含む何らかの措置を余儀なくされることを予見できたという本件事実関係(判文参照)の下では,上記航空管制官両名につき,両機の接触,衝突等の事故の発生を未然に防止するという業務上の注意義務を怠った過失があったものとして,それぞれ業務上過失傷害罪が成立する。 (補足意見,反対意見がある。)」 読み方:操縦者が最後に操作したことだけで、先行する管制上の危険を無関係にしません。各管制官の役割と是正義務も分けます。確認問題:機長の操作が介在すれば必ず因果関係は否定されるか。答え:いいえ。指示が作り出した危険と回避行動の関係を確認します。

射程

操縦者が最後に操作したことだけで、先行する管制上の危険を無関係にしません。各管制官の役割と是正義務も分けます。確認問題:機長の操作が介在すれば必ず因果関係は否定されるか。答え:いいえ。指示が作り出した危険と回避行動の関係を確認します。行為者ごとの注意義務も確認します。

根拠条文・参考資料

資料の確認日:2026年10月26日