何が起きたか
代理人が、本人のためではなく自己又は第三者の利益を図って、代理権の範囲内の取引をしました。その意図を知る相手方との間でも、本人を拘束するかが問題です。
- 形式上は代理権の範囲内の行為
- 相手方による濫用意図の認識可能性
何が問題になったか
その意図を知る相手方との間でも、本人を拘束するかが問題です。
裁判所の判断と理由
旧法下では、相手方が濫用の意図を知り又は知り得た場合に旧93条ただし書を類推し、本人に効果を帰属させないとされました。
代理権がない場合とは異なり、形式上は権限内です。だからこそ、代理人の内心の目的と、それを相手方が認識できた事情を分けて調べます。本人の利益にならなかったという結果だけでは足りません。
判決本文・裁判要旨で確かめる
裁判例詳細の事件番号・裁判年月日と本文PDFを照合できます。公表要旨は裁判所による要約です。本文では多数意見の理由と、補足意見・反対意見がある場合の記載を区別して読みます。
この判例が当てはまる範囲
現行法では代理権濫用を民法107条が定めています。旧法判例の根拠と現行条文を区別し、無権代理とみなす要件を現行規定で確認します。
事実を変えて考える
以下は理解を確かめるための設例です。実際の事件の事実ではありません。
代理人に私的な目的があっても、相手方が知らず、知ることもできなかった場合はどうですか。
この判例の濫用による効果否定の要件を欠きます。現行107条でも相手方の認識又は認識可能性を確認します。
答案・学習での使い方
検討の出発点は「形式上は代理権の範囲内の行為」です。次に「相手方による濫用意図の認識可能性」を、判断の要件や理由と結び付けます。事件名や結論を挙げるだけで終えず、設例のどの事実が同じで、どこが異なるかを説明しましょう。