何が起きたか
小説の翻訳出版・販売について、当時の刑法175条のわいせつ文書に当たるかが争われました。文学的・芸術的な価値がある作品でも、刑法上の評価が問題になるという事案です。
- 翻訳出版された文学作品であること
- 社会通念による法律上の評価
何が問題になったか
文学的・芸術的な価値がある作品でも、刑法上の評価が問題になるという事案です。
裁判所の判断と理由
最高裁は、わいせつ性を社会通念に照らして裁判所が判断する法律問題とし、芸術性があることだけでわいせつ性が当然に否定されるとはしませんでした。
表現の評価と刑罰による規制を結び付ける際、読者個人の好悪だけに依存せず、文書全体や当時の社会通念との関係を検討します。判決が用いたわいせつの定義と、具体的な作品への評価を分けて整理します。
判決本文・裁判要旨で確かめる
裁判例詳細の事件番号・裁判年月日と本文PDFを照合できます。公表要旨は裁判所による要約です。本文では多数意見の理由と、補足意見・反対意見がある場合の記載を区別して読みます。
この判例が当てはまる範囲
1957年の判断を現在のあらゆる表現物へそのまま移せません。その後の判例と現行規定を確認し、芸術性とわいせつ性を単純な二者択一として扱わないことが必要です。
事実を変えて考える
以下は理解を確かめるための設例です。実際の事件の事実ではありません。
ある作品について専門家が高い芸術性を認めたら、それだけでわいせつ性の判断は終了しますか。
終了しません。芸術性は作品の評価に関係しますが、それがあるだけでわいせつ性が必ず否定されるという整理ではありません。対象全体と適用時点を確認します。
答案・学習での使い方
検討の出発点は「翻訳出版された文学作品であること」です。次に「社会通念による法律上の評価」を、判断の要件や理由と結び付けます。事件名や結論を挙げるだけで終えず、設例のどの事実が同じで、どこが異なるかを説明しましょう。