Case Brief
預貯金債権の遺産分割対象性|大法廷平成28年決定
預貯金債権の遺産分割対象性に関する大法廷決定について、事案・争点・判断・射程を整理します。判決の結論を丸暗記せず、どの事実が判断を分けるかを具体例と確認問題から学べます。
更新日: 2026年10月24日
裁判所
最高裁判所大法廷
判決日
2016-12-19
引用
民集 第70巻8号2121頁(平成27(許)11)
判旨・学習上の位置づけ
事案:被相続人の預貯金を共同相続人間でどう扱うかが遺産分割手続で争われました。預金を可分債権として相続開始時に当然分割すると、遺産全体を公平に分ける調整が難しくなるという問題がありました。 争点:共同相続された普通預金、通常貯金、定期貯金が、相続分に応じて当然に分割されるのか、それとも遺産分割の対象に残るのかが争点です。一般の金銭債権と預貯金債権の性質を区別します。 判断:最高裁大法廷は、対象となった各預貯金債権について、相続開始と同時に相続分に応じて当然分割されることはなく、遺産分割の対象になるとしました。共同相続人間の実質的な公平を図るという遺産分割の性格と、各種預貯金契約の性質を検討した判断です。金額が分けられるという物理的な性質だけで法律上の当然分割を決めることはできません。従来の判断を変更した点と、対象となる債権の種類を明らかにして読みます。
射程
預貯金以外の金銭債権が全て遺産分割対象になると拡張しないことが重要です。現在は民法909条の2による遺産分割前の預貯金債権の行使もあり、本件決定と後の立法を区別します。 確認問題:決定後は生活費が必要でも一切単独払戻しができないか。解答:遺産分割対象という原則と、現行法の払戻し制度の要件を分けて検討します。銀行実務の手続も判例の射程そのものではありません。
根拠条文・参考資料
資料の確認日:2026年10月24日