Case Brief
手形偽造と事業執行性|使用者責任の外形的な判断
会社で手形関係の事務をしていた係員が、担当を外れた後に会社名義の手形を偽造しました。職務権限がない偽造でも、民法715条の事業の執行についての行為に当たるか。
裁判所
最高裁判所第三小法廷
判決日
1965-11-30
引用
昭和39(オ)1113/民集 第19巻8号2049頁
判旨・学習上の位置づけ
事案:会社で手形関係の事務をしていた係員が、担当を外れた後に会社名義の手形を偽造しました。なお会計係に所属し、会社の施設や事務の運営上、権限なく手形を作成しやすい状況があったことが問題となりました。 争点:職務権限がない偽造でも、民法715条の事業の執行についての行為に当たるか。 判断:裁判所が公表する裁判要旨は、次のとおりです。 「会社の会計係中の手形係として判示のような手形作成準備事務を担当していた係員が、手形係を免じられた後に会社名義の約束手形を偽造した場合であつても、右係員が、なお会計係に所属して割引手形を銀行に使送する等の職務を担当し、かつ、会社の施設機構および事業運営の実情から、右係員が権限なしに手形を作成することが客観的に容易である状態に置かれている等判示のような事情があるときは、右手形偽造行為は、民法第七一五条にいう「事業ノ執行ニ付キ」なした行為と解するのが相当である。」 読み方:無権限又は私的な目的だったというだけでは事業執行性を否定できません。一方、従業員の行為なら何でも会社の責任となるわけでもありません。確認問題:会社の正式な権限がなければ715条の適用は必ずないか。答え:いいえ。職務の外形と具体的事情を見ます。
射程
無権限又は私的な目的だったというだけでは事業執行性を否定できません。一方、従業員の行為なら何でも会社の責任となるわけでもありません。確認問題:会社の正式な権限がなければ715条の適用は必ずないか。答え:いいえ。職務の外形と具体的事情を見ます。
根拠条文・参考資料
資料の確認日:2026年10月26日