試験対策
予備試験論文のNG答案例|落ちる答案を避けるチェックリスト
予備試験論文で落ちやすいNG答案の例を、論点落とし、論証貼り付け、あてはめ不足、設問ズレなどに分けて解説。改善例とチェックリスト付き。

予備試験論文のNG答案例|落ちる答案を避けるチェックリスト
NG答案を知ると、論文は改善しやすくなる
予備試験論文で点が伸びないとき、多くの受験生は「もっと知識を増やさなければ」と考えます。
しかし、実際には、知識以前に答案の型で失点していることがあります。
この記事では、予備試験論文で避けるべきNG答案を、改善例とともに整理します。
NG答案1:設問に答えていない答案
悪い例
設問は「Xの請求が認められるか」を聞いているのに、答案では制度の一般論だけを書いている。
この制度は、取引安全を保護するための制度であり、判例も重要である。何が悪いか
制度説明はあっても、Xの請求に対する答えがありません。
改善例
Xの請求が認められるためには、Yとの間で売買契約が有効に成立している必要がある。そこで、まず契約成立の有無を検討する。最初に、設問に対応する形で書きます。
NG答案2:条文・要件がない答案
悪い例
Yの行為は不公平であり、Xを保護すべきである。何が悪いか
法律答案では、常識的な公平感だけでは足りません。
条文・要件・法律構成が必要です。
改善例
XはYに対し、民法○条に基づき損害賠償を請求することが考えられる。そのためには、故意又は過失、権利侵害、損害、因果関係が必要である。条文と要件から入ると、答案が法律答案になります。
NG答案3:論証貼り付け答案
悪い例
覚えた論証を長く書くが、問題文の事実にほとんど触れない。
この点については、制度趣旨から、A説、B説があるが、判例はC説を採る。したがって、C説が妥当である。何が悪いか
規範はあっても、あてはめがありません。
改善例
同制度の趣旨から、Aに当たるかは、B・C・Dを総合考慮して判断する。本件では、甲は事前に具体的な役割分担を決め、犯行時にも実行を容易にする行為をしている。これらの事情は、単なる認識を超えて、犯行実現に向けた意思連絡を基礎づける。論証は短く、あてはめを厚くします。
NG答案4:あてはめが事実列挙で終わる答案
悪い例
甲はナイフを持っていた。甲は被害者に近づいた。甲は被害者を刺した。したがって殺意がある。何が悪いか
事実は書かれていますが、その事実がなぜ殺意を基礎づけるのかが説明されていません。
改善例
甲は刃物を事前に準備し、被害者の胸部という生命に危険の大きい部位を狙って突き刺している。この攻撃態様は、死亡結果発生の危険性を認識しながら行われたものと評価できる。したがって、甲には殺意が認められる。事実の法的意味を書くことが重要です。
NG答案5:反対事情を無視する答案
悪い例
自分の結論に都合のよい事実だけを拾い、反対事情を無視する。
何が悪いか
問題文に反対事情がある場合、それは出題者が検討してほしい事情です。
無視すると、あてはめが一面的になります。
改善例
もっとも、甲は犯行後に救急車を呼んでおり、この点は殺意を否定する方向に働く。しかし、犯行時の攻撃部位、凶器の性質、攻撃回数からすれば、死亡結果の認識・認容は否定されない。反対事情を処理すると、答案の説得力が上がります。
NG答案6:論点の順番が崩れている答案
悪い例
刑法で、罪数から書き始め、後から構成要件を書く。
何が悪いか
法律上の処理順序が崩れると、答案が読みにくくなります。
改善例
刑法なら、次の順番で処理します。
構成要件
↓
故意・過失
↓
違法性
↓
責任
↓
未遂・共犯
↓
罪数順番は、答案の読みやすさに直結します。
NG答案7:結論がない答案
悪い例
論点を検討したまま、最後に結論を書かない。
何が悪いか
採点者が、答案の到達点を把握しづらくなります。
改善例
以上より、A要件を満たす。したがって、Xの請求は認められる。各論点の最後に、小さな結論を書いてください。
NG答案8:書きすぎ答案
悪い例
関係の薄い論点まで大量に書き、中心論点のあてはめが薄くなる。
何が悪いか
答案の時間と文字数は有限です。
重要論点に厚く、前提論点は簡潔に書く必要があります。
改善例
答案構成の段階で、論点をA・B・Cに分けます。
優先度 | 書き方 |
|---|---|
A | 厚く書く |
B | 簡潔に書く |
C | 時間があれば触れる |
NG答案9:CBTで冗長になる答案
2026年以降、予備試験論文はCBT対策が必要です。
パソコン入力では、手書きより書きやすい分、答案が冗長になりやすいです。
悪い例
同じ趣旨を何度も書く
見出しがない
長い段落が続く
修正しすぎて構成が崩れる
改善策
見出しを使う
1段落1論点にする
規範を短くする
あてはめを中心に書く
最後に結論を確認する
NG答案チェックリスト
答案を書いた後、次を確認してください。
NG答案を改善する練習
1. 自分の答案を赤入れする
自分の答案に、次の印をつけます。
条文:青
規範:緑
事実:黄色
評価:赤
結論:黒
評価部分が少ない答案は、あてはめ不足です。
2. あてはめだけ書き直す
全答案を書き直すより、あてはめだけを書き直す方が効率的です。
3. NG理由を1つに絞る
答案ごとに、改善点を1つだけ決めます。
今回は設問対応
今回は事実評価
今回は結論
一度に全部直そうとすると、改善がぼやけます。
よくある質問
Q. 自分の答案のどこがNGか分かりません
まず、条文、規範、事実、評価、結論の5要素に色分けしてください。どこが薄いかが見えます。
Q. 論証を書かないと不安です
論証は必要ですが、長く書けばよいわけではありません。規範を簡潔に出し、あてはめに時間を使ってください。
Q. NG答案を避けるだけで合格できますか?
NG答案を避けることは出発点です。そのうえで、一応の水準を安定して超え、得意科目で上積みする必要があります。
次に読むべき記事
予備試験論文の採点基準
予備試験論文の上位答案の特徴
ChatGPTで論文添削する方法
まとめ
予備試験論文で避けるべきNG答案は、次の通りです。
設問に答えていない
条文・要件がない
論証を貼り付けている
あてはめが事実列挙で終わる
反対事情を無視する
処理順序が崩れている
結論がない
書きすぎている
CBTで冗長になっている
NG答案を避けるだけで、答案の安定度は大きく上がります。まずは不良答案をなくし、一応の水準に安定して乗せることを目指してください。
参考情報・出典
この記事は、以下の公開情報を確認したうえで作成しています。試験制度・日程・出願方法・CBT仕様は変更される可能性があるため、出願前・直前期には必ず法務省の最新情報を確認してください。
・法務省「令和8年司法試験予備試験の実施日程等について」
・法務省「令和8年司法試験予備試験受験案内」
・法務省「令和7年司法試験予備試験問題」
・法務省「令和7年司法試験予備試験の結果について」
・法務省「司法試験及び司法試験予備試験のデジタル化について」
・法務省「司法試験予備試験の方式・内容等について」
・e-Gov法令検索「司法試験法」
・Dunlosky et al., Improving Students' Learning With Effective Learning Techniques
・Roediger & Karpicke, Test-enhanced learning